たくましいひかりの仲間たち
ひかり幼育園の園庭は、雑草がいっぱい伸びています。地域の方に「草取りをしないんですか?」と聞かれます。「実は雑草を育ててるんです」とお答えしたいのですが、それだけだと伝わりにくいかと思いますので、今回少しその理由をお伝えしたいと思います。
以前から(旧園舎の頃から)ずっと園の課題のひとつだったのは、園庭の砂ぼこりでした。風の強い日(特に冬場など)は、目も開けられないほどの砂嵐で、ご近所の車などが真っ白になるほど砂が積もったり、窓を開けていると家の中まで砂だらけになるほどでした。その度にお詫びにいき、スプリンクラーで水を撒いたり、防砂ネットを張ったりといろいろと取り組んでいましたが、休日や夜間に水が撒けないことや舞い上がる砂はネットだけでは防げないなど、なかなか解決出来ない課題でした。
そこで、思い切って園庭を全面芝生にしようを考えました。専門家の指導の下、園庭に堆肥を入れ、条件にあう種子を撒き、3ヶ月程度立ち入り禁止にしながらやってみましたが…。毎日子どもたちが走り回っていたらあっという間にすっかり無くなってしまいました。その後もいろんな種(たんぽぽやしろつめ草や近くの知らない雑草など)を撒いたり植えたりしてみましたが、子どもたちが園庭で遊びつつ、その中でも育つ草となると…思うようにいかずに半ば諦めかけていました。
そんな中、いつの間にか、園庭の端の方からジワジワと雑草たちが育ってきていました。何もしていないのにジワジワと。中には乾ききった園庭のど真ん中から生えてくる強者もいます。子どもたちに踏まれても踏まれてもしっかり伸びて広がっていきます。おお、すごい!この草たちは強い!感謝感謝と手を合わせつつ、よし、種が落ちるまでそのままにしておこうと考えました。その強い草の種はもっと強い草になるはず!との期待を込めて。
もうひとつ理由があります。それは草原のような園庭にしたいということ。草原というと大げさですが、草でいっぱいにしたい。草がいっぱいだといろんな虫たちが生きていけます。様々な生き物たちがいつも子どもたちのそばにいるからこそ、いろんな遊び方や関わり方を自ら学んでいきます。そして、そのことを通して、いのちやつながりについて自然に(大人が言葉で教えるのではなく)感じとることが出来るようになると思うのです。ひかりの園庭が、私たちが子どもの頃、多くのことを学んだ草いっぱいの空地や野原のような場…になってほしいと願っています。
それにしても宗像は本当に雨が降りませんね。干上がった園庭でもたくましく生きていく草たちには、本当に頭が下がります。暑い暑いと愚痴ばかりで、エアコンづけの私はいよいよ弱くなってしまったのでしょう。
園長 堤 智行