宗像市 保育園。自然の恵みを大事に心身共に健康な子どもたちを育むひかり幼育園へようこそ。

社会福祉法人 巌松福祉会 ひかり幼育園

かりのこ(園だより)より

自分だけの特別

自分だけの特別

 

「お弁当の日の朝の子どもたちは、いつもと違ってみんなすごく嬉しそうにやってくるんだよ。特別な日なんだろうね。」と立ち番の原田先生が教えてくれました。なるほど、本当にそうです。

子どもたちは、お弁当の日を楽しみにしていて、その中身が気になって仕方がないのでしょう。頭の中では、想像力豊かにメニューがあれこれと湧いているに違いありません。自分の大好きなものが本当に入っているか、フタを開けるまでドキドキしているのではないでしょうか。

お家の人は、中身を何にしようかとあれこれ考えて、前日から買い物したり、お弁当箱を出したり、我が子にもどんなお弁当がいいか尋ねるかもしれません。朝早く起きて、バタバタと朝の用事を済ませながら、お弁当を作っています。我が子一人に一つのお弁当なので、兄弟が多いと本当に大変だと思います。仕事に家事にとても忙しく、中々ゆっくり我が子(一人ひとり)と過ごす時間が作れない毎日の中で、時間をわざわざ割いて、一人ひとつのお弁当を作る。その子のことだけをあれこれ考えながら作る。お家の人にとってのお弁当の日は、我が子と向き合う特別な日になるのではないでしょうか。

 

お家の人が自分だけに作ってくれたお弁当。自分だけの特別なお弁当。子どもたちはお弁当の美味しさだけでなく、私たち大人の想像以上に、その「自分だけの特別」が嬉しいのでしょう。もしそうだとしたら、何もお弁当だけではありません。自分だけの特別な「時間」「もらったもの」「買ってくれたもの」などなど。特別な「抱っこ」や「かたぐるま」もあるでしょう。お誕生日は正にそういう日ですよね。そんな特別な時の子どものとびっきりの笑顔は、大人も子どもも一生忘れないと思います。こうして書きながら、我が子が小さかった頃のとびっきり笑顔をふと思い出しました(笑)。最近しばらく見てないな…反省です。

 

「自分だけの特別」は、私は大事にされているんだということを実感させてくれるのでしょう。毎年の入園式でお話しする「人は誰もが、上も下もないかけがえのない同じ命を生きている」「みんなちがってあたりまえ・みんなちがってみんないい」ということが、小さくても感覚としてわかるときなのです。子どもたちがこれから生きていく上でなくてはならない、自尊感情は、こうした「自分だけの特別」をしっかり繰り返し経験することでしか育たないのではないでしょうか。子どもが求めていることは、大人にはわがままにしか見えないかもしれませんが、「自分だけの特別」、つまり、その子の自尊感情が育とうとしている大事なときなのかもしれません。

ちなみに、我が子は中学生になった今でも、必ず中身を聞いてきて、フタを開け「ふむふむ」と確認してから鞄に入れます。変なものが入っていないかのチェックなのかもしれませんが…。

園長 堤 智行